主な開催重賞
- 重賞は開催なし
- クローバー賞(OP・2歳)
札幌芝1500mは中央唯一の芝1500m設定。
重賞は編成されておらず、メインどころはクローバー賞(2歳OP)。
内回りでコーナーを3つ回る特殊形態ゆえ、立ち回りと位置取りの巧拙が問われます。
コース構造と特徴
右回り・芝のワンターン半(コーナー3つ)。
発走は1コーナー奥のポケットで、最初のコーナーまで約170m。
序盤に内を確保できるかが大きな鍵です。
向こう正面は約250mと短く、3〜4角は大きくカーブして直線へ。
直線はAコース266.1m(B267.6m、C269.1m)で高低差0.7mとフラット。
札幌の芝は洋芝主体で、瞬発力だけでなく持続するスピードとパワーが要求されます。
フルゲートは各コース14頭です。
開催進行と仮柵
札幌の芝はA→B→Cと仮柵を段階的に外へ移動します。
開幕週は内がフレッシュで「内+先行」が取りやすい一方、週が進むと内の傷みが表面化して外差しの好走の傾向が強まります。
各コースで直線距離がわずかに延びる(A266.1m→B267.6m→C269.1m)ため、終いの伸びが利きやすくなる週もあります。
当日の含水率と風向、内外の馬場差は必ずチェック。
展開ラップ傾向
ラップ傾向はワンペース〜僅かに後傾(緩→持続)が基本です。
平均時計はクラスにより前後しますが、コーナー3つで息が入りやすく、向こう正面〜3角で一呼吸、L3以降は持続的にラップが締まるパターンが多数。
極端な瞬発ひと差しよりも、先行してL3から長く脚を使えるタイプが噛み合います。
道悪ではさらに前半が落ち着きやすく、前受け+パワーでの粘り勝負に振れやすいです。
タイム水準(良馬場)
- 2歳新馬:1:31.3前後
- 未勝利(2〜3歳混合):1:31.1前後
- 1勝クラス:1:29.9前後
- 2勝〜3勝クラス:1:28.8前後
- オープン・L(主に2歳OP):1:29.9前後
- 全体平均(5年目安):1:30.6前後
上記は近年の平均値。
前半が落ち着いてL3からの持続勝負に移行するため、見かけの上がりは速くなりすぎないのが特徴です。
記録面では21年にヴァトレニが1:27.3のコースレコード。
枠順傾向
枠順別の勝率/複勝率
- 1枠:8.1%/23.2%
- 2枠:9.9%/25.7%
- 3枠:8.9%/23.6%
- 4枠:7.3%/25.5%
- 5枠:8.0%/24.1%
- 6枠:9.3%/27.3%
- 7枠:8.0%/21.9%
- 8枠:6.3%/22.0%
内〜中枠がやや良です。
スタートから最初のコーナーまでが約170mと短いため、内でロスなく隊列へ収まる価値が高い一方、外は出脚と進路確保が決まれば妙味。
3〜4角で外々を回すロスは結果に直結します。
脚質傾向
脚質別の勝率/複勝率
- 逃げ:25.0%/42.6%
- 先行:15.5%/41.4%
- 差し:3.2%/18.4%
- 追込:1.3%/6.3%
逃げ>先行>差し>追込が基本です。
番手〜3列目で脚を温存してL3からの持続加速で押し切るのが王道です。
直線は短めで追込一辺倒の過信はNG。
馬場状態別(脚質)
良では先行〜差しのバランス型で、道悪ほど前受けの粘りが増します。
不良まで悪化すると内の荒れを避けた先行外目(隊列の2〜3列目)が粘りやすい傾向。
騎手
騎手別の勝率/複勝率
- 横山武史:20.6%/45.6%
- 武豊:19.6%/32.6%
- 丹内祐次:9.9%/30.9%
- C.ルメール:18.2%/48.5%
- 横山和生:13.0%/30.4%
序盤で位置を取り、3角入口で溜めを作ってからL3でスッと仕掛けられる札幌巧者が堅実。
人気馬の取りこぼしが少ない横山武史・ルメール・武豊は軸に据えやすいです。
血統(父/母父/父×母父)
父
種牡馬別の勝率/複勝率
- モーリス:14.0%/38.6%
- エピファネイア:10.9%/36.4%
- ハーツクライ:17.9%/35.7%
- キズナ:18.5%/25.9%
- ロードカナロア:5.8%/23.1%
洋芝でのスピード持続×パワーが噛み合う系統が強め。
モーリスやエピファネイアなどロベルト・ミルリーフの持続力、キズナ・ハーツの底力が好走の傾向です。
母父
母父の勝率/複勝率
- ディープインパクト:10.8%/31.3%
- サンデーサイレンス:18.2%/36.4%
- マンハッタンカフェ:14.8%/48.1%
- キングカメハメハ:9.3%/25.6%
- ハーツクライ:11.5%/34.6%
父に持続力、母父にミスプロ系・SS系・ND系のしなやかさを配す配合が直線の持続で安定。
母父サンデーやマンハッタンカフェの厚みも好材料です。
父×母父
父×母父の勝率/複勝率
- クロフネ×サンデーサイレンス系:勝率・複勝率とも高水準
- ディープインパクト×ロベルト系:複勝率上位の相性
- ステイゴールド×サドラーズウェルズ系:複勝率66.7%
いずれもサンプルは限定的ながら、札幌1500mで繰り返し結果が出ている配合です。
近年の全体像は上記「父」「母父」の通りで、まずはそこで選別するのが実戦的です。
馬場状態別(血統・父)
- 良:モーリス14.0%/38.6%・ハーツクライ17.9%/35.7%・キズナ18.5%/25.9%(洋芝での持続と先行力が噛み合う)
- 稍重:エピファネイアなどパワー持続型の好走頻度が上昇(牝馬で成績良化の指摘もあり)
- 重:ゴールドシップ/キタサンブラック系統などパワー型の上昇が目立つ
- 不良:道悪適性が色濃い血統の押し切りが強化(前受け+持続が必須)
馬場別の詳細な百分率は公開統計が限定的なため、近年の出走馬構成と公開データの示す傾向を総合した運用目線です。
概ね「良=モーリスなどロベルト由来の持続」「渋化=エピファネイア等のパワー配合」に寄ります。
調教師
調教師別の勝率/複勝率
- 須貝尚介:28.1%/40.6%
- 武幸四郎:25.0%/58.3%
- 堀宣行:26.7%/53.3%
- 鹿戸雄一:36.4%/36.4%
- 伊藤圭三:23.1%/53.8%
札幌に滞在して夏場に勝ち星を積む陣営が強く、先行力を引き出す仕上げで勝率が上振れします。
馬主
馬主別の勝率/複勝率
- キャロットファーム:16.3%/30.6%
- ビッグレッドファーム:25.0%/45.8%
- 東京ホースレーシング:18.2%/40.9%
- 吉田照哉:20.0%/46.7%
- ライオンレースホース:21.4%/50.0%
クラブ勢は出走数の多く、層の厚さで堅実。
個人色の強いオーナーはパワー配合で渋馬場に強みを見せるケースが目立ちます。
調教師×馬主
ノーザン系クラブ×札幌巧者厩舎が王道です。
キャロット×須貝/武幸四郎、東京HR×堀、サンデーR×鹿戸などは当舞台で好走の傾向が強い組み合わせです。
いずれも札幌開催での馬房運用・輸送慣れがプラスに働きます。
生産牧場
生産牧場別の勝率/複勝率
- ノーザンファーム:安定して上位の複勝率
- 社台ファーム:先行力のある配合で堅実
- ビッグレッド系牧場:出走数の多いローカル適性で走る
規模の大きい牧場は総じて安定。
札幌の洋芝に合う持続力配合を高比率で生産する牧場が強みを示します。
まとめ
- 枠:内〜中やや良。道中のロスを抑えられる配置がプラスで、外は発馬とダッシュで好位確保なら妙味
- 開催と芝:仮柵移動で序盤は内先行、開催後半は外差しの好走の傾向が強まる
- ラップ:ワンペース〜僅かに後傾の持続力が重要。直線は短めで早め進出が肝
- 脚質:先行を軸に、逃げ強め。差しは隊列短縮+早めの捲りで好走の傾向。極端な追込過信はNG
- 血統:洋芝×パワー持続が王道。道悪ならゴールドシップ/キタサンブラック/オルフェーヴルなどパワー型の優位がさらに増す
- 騎手:札幌巧者のルメール・横山武史・武豊・横山和生を素直に評価。人気馬の信頼度が高い
